こんにちは!ネットラボ編集部です。
このたび、生まれて初めてMRI検査を体験してきました。「いったいどんなことをするの…?」と興味をもつ方も多いと思うので、さっそくレポートします!
MRI検査で頭の病気を早期に診断
今回、MRI検査を体験させていただくのは、横浜市都筑区にある『センター南脳神経外科クリニック』です。院長の金井先生にお話を伺いました。
――こちらには「MRI」と「CT」がありますが、何が違うのでしょうか?
「まず、MRIは磁力を用いた検査で、CTは放射線を用いた検査という違いがあります。その為、両者では得られる情報に差が生じます。頭の領域で『造影剤を使わない』という条件下では、MRIで得られる情報は脳と血管、CTで得られる情報は脳と骨となります。
画像のコントラストはMRIの方が優れており、超早期の脳梗塞や腫瘍、慢性病変、脳神経を確認する場合には圧倒的な力を発揮します。更に造影剤を用いずに血管系の評価までが可能となると、MRIの方がCTより優れた検査であるように感じてしまいますが、『撮影環境』という重要な要素を考慮する必要があります。
MRIは狭いトンネルの中に入って頂く必要があり、撮影時間も15分前後必要となります。対してCTは開放的な環境で検査が可能であり、撮影時間はわずか1~2分です。CTには状態の悪い方や閉所恐怖症の方、お子さんでも検査が可能という圧倒的な利点があるわけです。また、CTは出血の評価がしやすいという利点も持っています(私個人だけかもしれませんが)。
ですので、スクリーニング的な意味合いが濃い場合にはMRIを検討し、具体的に出血系の病気を疑う場合や骨折の評価が必要な場合にはCTを検討します。最終的には撮影環境と患者さんの希望を併せて考慮し、どちらを選択するか決めています。」
――どのような症状の患者さんに検査を行うことが多いですか?
「当院の場合、頭が痛い・めまいがする・しびれがある・頭をぶつけたなどで受診される方が多いです。頭部打撲の場合はぶつけてからの時間経過によってCT検査とMRI検査を使い分けます。それ以外の方の場合は、より情報量の多いMRI検査を選択することが多いです。一口に頭痛、めまい、しびれと言っても、さまざまな要因が考えられますので。検査の結果、問題がなければ自信を持って「大丈夫ですよ」とお伝えしたいですし、問題があるなら適切な治療を考えなければなりません。」
たしかに。実は私も頭痛持ちで薬が手放せず、週に3~4回は必ずお薬を飲むという生活が長く続いています。大好きだった伯母をくも膜下出血で亡くしていることもあり、自分も同じ道を辿るのではないか…とずっと心配していたのです。
今回のMRI検査で、長年の不安や悩みが解決するといいのですが。今はただ、祈るばかりです!
検査前の問診&注意事項の確認
MRI検査に限らず、検査をすべきかどうかはドクターが判断します。検査をする前には必ず診察が必要となり、私も先生とのお話の中で「一週間の半分は頭痛薬を飲んでいる」こと、「伯母をくも膜下出血で亡くしている」ことなどをお伝えしました。
一方の金井先生からは、血管等の評価が必要で、MRI検査が望ましいことと、MRI検査の流れや検査室に持ち込めないものなどについて説明があり、最後に「検査中は大きな音がします」とお話がありました。これまで検査といえば、レントゲンくらいしか経験のない私。「大きな音」っていったい何でしょう…?
「MRI装置の仕組みを簡単にご説明しましょう。MRIは人の体に存在する水素原子核の陽子(プロトン)を利用して画像を作ります。装置内の強い磁場でプロトンを同一方向に向かせた後、ある周波数のラジオ波を照射することで磁気共鳴信号を得ることができるそうで、こうして得られた信号を画像化しています。ラジオ波を照射する際に『カンカン』とか『ブーブー』といった音が生じるのですが、あいにくこの音を消すことは出来ないと聞いています。
『カンカン』という音が終わったら撮影が一つ終了、『ブーブー』という音が終わったらまた一つ撮影が終了したと、そんなふうに考えてください。検査中に何か心配なことがありましたら、白いブザーを握って知らせてくださいね。」と金井先生。
検査室内は磁場が発生しているため、磁気に反応するヘアピンやアクセサリー類、ワイヤー入りのマスクなどは持ち込みNG。たった15分とはいえ、検査中に私が頼れるのはこのブザーだけのようです…。
いざ、MRI検査へ!
診察が終わると貴重品類をカギ付きのロッカーに預け、検査室へと向かいます。MRI検査を受けるにあたって検査着などに着替える必要はなく今回は、私も普段着のままで検査を受けました。これは女性にとってかなり嬉しいことですし、時間の節約にもなりますね。ただし、下着に金具が付いていたりすると外さなければならないケースもあるそうです。事前にホームページなどでチェックしておくといいかもしれません。
さて。検査室内で存在感を放つMRI装置は、ドーナツ型の大きな機械にシングルベッドが合体したような独特のフォルムです。テレビドラマなどで目にしたことがある方も多いと思いますが、実際に実物を目の前にするとなかなか迫力があります。
検査技師さんに促されるままベッドの上に横たわると、大きな音を遮断するために耳を塞がれ、さらに剣道の防具(面)のような器具を装着して肩から上をガッチリと固定されます。もう後戻りはできません…、かなりの緊張状態のまま検査がスタートしました。
検査は、私が横たわっているベッド部分がスライドして装置の穴に入り、検査が終わるとまた元の位置に戻ってくるという流れです。最初は、狭くて暗い所に入るが怖かったのですが、剣道の面(?)に守られているおかげで視界が限られ、かえって安心感がありました。
検査中は体の痛みも違和感も全くありませんでしたが、どうしても気になったのが「大きな音」です。事前にお知らせがあった通り、「コンコン」「カンカン」「ドンドン」「ブーブー」と規則的に大きな音がして、ちょっぴり居心地の悪い感じがしました。きっと、どんなに疲れているときでも熟睡するのは難しいでしょう。
お守り代わりの「ブザー」を握りしめること約15分、体感的にはもっと短い時間でMRI検査は無事に終了。身支度を整えたら、検査結果を聞くために再び診察室に向かいます。
私を悩ませる頭痛の原因とは…!?
こちらのクリニックでは受診したその日にMRI検査を受けられ、検査結果もその日のうちに教えてもらえます。さて、私の頭の中はどうなっていたでしょうか…?
「基本的に、とてもきれいな状態ですよ。亡くなった伯母様と同じくも膜下出血を心配なさっていましたが、脳動脈瘤の所見もありません。現在のところ、頭痛の原因として考えられるのはストレートネックではないでしょうか。
あぁー、良かった! 日々悩まされている頭痛の原因が頭の病気ではないことが分かり、まずは一安心です。ちょっとした緊張感はあったものの、痛みもなく15分程度で終わるなら、もっと早く検査を受ければ良かったです。
「MRI検査は“何でも分かる検査”ではありません。頸部血管の評価は頚動脈超音波検査の方が優れていますし、頭部MRA検査で判断に悩んだ場合は造影CT検査(3D-CTアンギオ)に頼る場合もあります。しかし、撮影環境以外、患者さんへの負担が非常に少ない検査でありながら、得られる情報量はとても多い。患者さんから症状をお聞きして、悪いところがないかを一通りチェックしてみるという場合には、特に適した検査だとは思います。頭の中にとりあえず問題がないことが分かると、患者さんはみなさん安心してお帰りになりますから。」
たしかに、心配事が一つ無くなると心が軽くなる気がします。でも、もしも病気の兆候が見つかった場合はどうなるのでしょう?
「早めの治療が望ましい疾患の場合は、すぐに治療が可能な病院をご紹介しています。幸い、クリニックを出てエレベーターを降りればタクシー乗り場があります。ご自身で移動するのは危険、もしくは不可能と判断した場合は救急車を要請しています。
一方、時間的に余裕のある疾患の場合は今後必要になる検査や治療の内容、患者さんの住所などを考慮して、それぞれの患者さんに適した病院へ紹介状を用意するようにしています。」
クリニックを開くまで大学病院や専門病院で経験を積んだという金井先生。豊富な経験やネットワークがあるからこそ、一人ひとりの患者さんに適切な道案内ができるのですね。まさに、頼れるドクターという感じです!
気になる症状があるときは早めの受診を
今回初めてMRI検査を受け、「心配ありません」との診断をいただいた私。これから先も、今まで通りの生活を送って大丈夫でしょうか? 今後の生活で気をつけることなど質問してみました。
――MRI検査は、どのくらいの頻度で受けるといいですか?
「今日の検査で『脳動脈瘤の所見なし』でしたので、大体3年間くらいは安心しててもらって大丈夫です、お身内にもお一人しかいませんし。他に定期検査が必要な何らかの所見があったり、お薬を服用していて定期通院されている場合には1年程度での再検査をご案内するところですが、あなたの場合は『次の検査は3~5年先』と覚えておいてください。
頭痛もストレートネックが原因で生じている緊張型頭痛と分かりましたから、姿勢に注意して頂いて首回りや体幹のストレッチを心がけるようにして下さい。続いてしまう場合は痛みが弱いうちにお薬を服用すると良いですよ。」
――記事をご覧のみなさんが受診する際、目安となる症状にはどんなものがありますか?
「突然発生した激しい頭痛、動けず嘔吐するほど激しく回転するめまい、自分で移動できないほどの半身麻痺などが出現した場合は救急車を呼んで頂いた方が良いと思いますが、ビックリするほど強くはないが長く続く頭痛やフワフワフラフラするめまい感、何となく手足が動かし難い、痺れている、呂律が回っていない、などの症状がある場合はご相談頂ければと思います。他にも頭が心配と思うような症状がある場合は、MRI検査は基本的に体に害となる検査ではありませんので、お気軽にご相談頂ければと思います。」
――私は“体験”として検査を受けましたが、実際の検査費用が心配です…。
「MRI検査には高額な検査費用がかかると心配される方も多いようです。確かに検査の中では高額な部類だと思いますが、診察とMRI検査だけであれば、3割負担の方で自己負担は7000円前後です。
当院では造影剤を注射する検査は行っておりませんので痛みはありませんし、磁気を使う検査ですから放射線被爆もありません。ペースメーカー等の医療機器を埋め込んでいる方や妊娠中の方、閉所恐怖症の方など、検査を避けた方が良い場合もありますが、比較的多くの方に安心して受けて頂ける検査ではないかと思っています。」
先生のお話を伺うまで「検査1回○万円」という高額請求を予想していましたが、1万円でおつりがくると知り、すこし安心しました。最近は、コロナの後遺症で頭痛に悩まされる人も増えているとか。気になる症状があるときは、早めに相談するのが良さそうですね。
金井先生、ありがとうございました!
INFORMATION
センター南脳神経外科クリニック | ||
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電話 | 045-941-6655 | |
所在地 | 横浜市都筑区茅ケ崎中央1-2 センター南駅光ビル4F | |
最寄駅 |
センター南駅 徒歩1分
センター北駅 徒歩14分 都筑ふれあいの丘駅 約1.9km |
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診療時間 | [平日・土曜]9:30~12:30 15:00~18:00 [水曜]9:30~12:30 |
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休診日 | 水曜午後・第2・4土曜・日曜・祝日 |