原 興一郎 院長（はまゆり糖・生活習慣病クリニック 溝の口)のインタビュー

健康な生活を専門医として支えていくべく

大学卒業後、東京慈恵会医科大学の糖尿病・代謝・内分泌内科の門を叩きました。学生の頃から、内分泌代謝という領域に魅力を感じていたのです。この分野では様々な疾患を想定していき、検査によって現れてくる数値によって明解に診断、そして治療へと結びついていきます。見た目で「これっぽい」といった類のものではなく、そのロジカルな面に大きな魅力を感じたのです。

またこの科では糖尿病も含め、老若男女、さまざまな方と長く交わっていくことになります。比較的良性の疾患が多く、治療がしっかりできさえすれば通常の人と変わらない生活が送れる側面があり、そのサポートができるところにやりがいを感じたのです。

2023年に『はまゆり糖・生活習慣病クリニック 溝の口』は開院いたしました。実はこの地域は街の規模が大きいにもかかわらず、クリニックレベルで糖尿病の専門医が不足していました。糖尿病および内分泌の専門医として、この地域にお住いの方のお役に立っていきたいと思っています。

糖尿病専門医、内分泌専門医として

糖尿病の患者さんが多いのですが、例えば高血圧の方、コレステロールの数値が高いといったように、生活習慣病で来院される方も少なくありません。私は10数年に渡って大学病院で糖尿病はもちろんのこと、高血圧や高脂血症、高尿酸血症（痛風）などの生活習慣病の治療に従事してきました。また先にも申しましたように、内分泌の専門医として、甲状腺や下垂体、副腎などの内分泌疾患の診療経験も並行して積んできました。糖尿病だけではなく、比較的幅広いお悩みで来院いただけるのは、こうした私の経歴を頼りに思ってのことかもしれません。

年齢層としては、生活習慣病、甲状腺の疾患は20代でも珍しくないこともあり、幅広い年代の方がお越しになっています。特に健康診断で数値の異常を指摘された方が心配して来院されるケースが多いですね。

お薬のみを頼りとせず、できることから始めていく

もちろんお薬の力を借りなければならないケースはありますので、必要な方には適切に使っていくことになります。ただし、最初からお薬ありきではなく、まずは食事や運動などの生活習慣で改善が期待できる方には、そこから始めていくことになります。クリニックが入っているビルの1階には薬局があり、そちらには管理栄養士さんがいらっしゃり、密接に連携をとっています。無料の栄養相談も受け付けておられますし、必要な患者さんには栄養の面からもしっかりとサポートさせていただいています。

HbA1cをただ下げるのではなく、良質な血糖コントロールに導いていく

糖尿病の重要な指標となるHbA1c（ヘモグロビンエーワンシー）ですが、その数値のみを追っていく糖尿病治療はもはや過去のものとなりました。重要なのは、HbA1cをただ下げるのではなく、低血糖や高血糖を起こさないようにHbA1cを下げていくことにあります。HbA1cは血糖値の平均を反映するものですから、例えば、低血糖が増えればHbA1cは下がります。しかし、低血糖が血管等に悪影響を及ぼすことは確実なことですので、いかに低血糖を起こさず、質の良い血糖コントロールを目指していくかが治療の鍵となってきます。

血糖値を下げると一言で言っても、お薬によって下げ方はまったく異なります。また、効果の高いお薬であっても、使ってはならないタイプの人もいらっしゃいますし、合う合わないもあります。患者さんの状態を注意深く観察し、その方にあったお薬を選択し、上手に血糖コントロールをしていく必要があるのです。

地域のみなさんへメッセージ

生活習慣病は長いお付き合いをしていく必要がありますので、ご自身に合った治療法であり、生活習慣を身につけることが大切です。その点を理解するクリニックであり、医師を見つけることがまた大切で、当クリニックがその役割の一旦を担うことができれば幸いに思います。

「こんなことでかかっていいの？」と心配される必要はありません。まずはご相談ください。コロナ禍の影響もあり、自営業の方や主婦の方は健康診断から長らく遠ざかっているケースも少なくないと思われます。インターネットで調べ、病気を疑われることもあるでしょう。何か気になることがありましたら、どうぞお気軽にお尋ねください。

※上記記事は2023年5月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。