消化器領域・メタボリック症候群のスペシャリストとして地域に貢献
同級生のお父さんが地域の開業医をされていました。たびたびお世話になっていたものですから、今思い返せば、その方の影響を受けたところが大きかったのでしょうね。大学卒業後は消化器内科に籍を置きました。この選択に関しては、研修を受けた国立国際医療センター(現:国立国際医療研究センター病院)の上村直実先生と正木尚彦先生の影響を強く受けたものです。上村先生はピロリ菌の大家として世界的に高名な先生で、正木先生は肝炎情報センター長として日本の政策医療の中心を担われていました。お2人ともその道のスペシャリストでいらっしゃいますが、両者に共通していたのが、医療の入り口はジェネラルであれ、というもの。「1人ひとりの患者さんから勉強をさせていただく気持ちで診療を」という、その考えに大いに共感したのです。
2021年4月に『溝の口胃腸科・内科クリニック』は開院いたしました(東急田園都市線「高津駅」「溝の口駅」/JR南武線「武蔵溝ノ口駅」各駅から徒歩9分)。私は根本的にはじっくり物事を考えるタイプだと思うのです。ただ、その割には重要なことは直感で決めてしまうところがありまして(苦笑)。今回の開業も周囲にはずいぶん驚かれたものです。
ご自身の健康に関するお悩みはなんでもご相談ください
いわゆる消化器領域・メタボリック症候群関連のお悩みで来院される方が目立ちます。そのニーズを大別すれば3つあり、1つは私は消化器内視鏡専門医でもありますから、内視鏡検査をお望みの方。それから、日本肝臓学会肝臓専門医であることをホームページなどでお知りになり、肝炎や脂肪肝など、肝臓を診てもらいたいというケース。それからもう1つ、メタボリックシンドロームも私の専門領域の一角であり、糖尿病や高脂血症、高血圧や痛風等の疾患をお持ちの方、もしくは健康診断でそれらを指摘され、相談に見えるという方です。そういったご相談を一緒に考えていきたいと考え、勤務医から地域の開業医を目指したものですから、我が意を得たり、というところですね。
エビデンスに基づいた正しい情報を伝えていく
エビデンスに基づいた正しい情報をお伝えし、患者さんと一緒にどうしていくべきかを考えていきます。昨今は私の専門領域だけを見ても、新しい情報が次々にアップデートされていきます。ありがたいことに今はそれがウェブでも見れますから、大変ではありますが逐一チェックしています。今は医療情報が世にあふれているといっていい状況ですよね。今のコロナウイルスにしてもそうですが、その中には正しい情報とそうではないものが入り混じっています。それを見極め、正しい情報を患者さんにしっかり伝えていくことも私たちの重要な役割と認識しています。
1人ひとりの患者さんの立場に寄り添っていくことも大切
その人その人に事情があり、また受け止め方も異なります。ですから、患者さんの人となりや状況に合わせて物事を進めていく姿勢は大切です。正しい情報を伝えると申しましたが、それはまた客観的でわかりやすいものであることが必要でしょう。肝臓を例にします。お酒をこのペースで飲んでいると、どのくらいで肝硬変になってしまうか。起こり得る未来像を具体的にお伝えすることが重要です。ただ「大変なことになりますよ」と伝えるのではなく、患者さんが自分の情報として認識されるように工夫をすべきだなのです。
現在、医学の研究は飛躍的な速度で進んでいます。私自身、研究者として世の中に貢献したいと思い、アメリカに留学していた時期もありました。しかし、ある時点で、今あるエビデンスだけでも十分に人生を変えることは可能で、もっと多くの人が健康寿命を延ばすことができるのではないかということに気づかされたのです。未知の新しい事柄を如何に研究していくか、という点にも勿論やりがいと意義を感じる一方で、既知のエビデンスを如何に実践するか・臨床に生かしていくか、という点についてまだまだ改善点が少なくない、と感じたのです。私が地域の開業医を目指したのは、その役割に大きなやりがいを見出したからなんですね。
これから受診される患者さんへ
病気のことだけが頭にあるのは不健康かもしれませんが、何か兆候があれば自分のこととして捉え、なるべく早くご相談ください。当クリニックは患者さんの健康推進を総合的にサポートしてまいります。地域の健康の相談窓口として、お気軽にご利用ください。
※上記記事は2021年5月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。