田中 聡子 オーナー（ヨガ&ボディメイクスタジオ Yoga Day1（ヨガデイワン）)のインタビュー

「私疲れてるんだ」と気がつかせてくれたヨガ

もう10年以上前になりますが、企業に勤めていた頃は新人や中途採用の研修などを担当していました。人前で話すことが好きで仕事自体は自分に向いていたのですが、かなり忙しい日々でしたね。キャリアアップの試験や勉強などに追われ心に余裕がありませんでした。そんなとき、大手ヨガスタジオでインストラクターをしていた姉から「ちょっと、やってみない？」と誘われレッスンに参加することになったんです。ヨガのレッスンを受けていたら、ヨガは仕事とは全然違う時間を与えてくれることにだんだん気がつきました。ヨガをすると、自分の体と心に集中することができます。気がつくと、自然と涙がポロポロ溢れていました。「私って、疲れてたんだ」って気がつきましたね。心身ともに、すっきりしてレッスンが終わると、「これはいいな」と思って、定期的にヨガを続けることにしたんです。夢中でヨガを続けているうちに、伝える側になりたいと思い、ヨガインストラクターの資格も取得しました。インストラクターとして生きる道を選ぶと、仕事もきっぱり辞めましたね。それから、大手ヨガスタジオなどで教え始めたのです。

子どもに誇れる仕事にしたくてスタジオをオープン

ヨガのインストラクターを始めてからは、様々なスタジオでレッスンをさせていただきました。ですが、少しずつ何か腑に落ちない感覚が残るようになりました。大手のスタジオでは、スタジオが用意したプログラムでヨガをしなくてはなりません。お客様がどのような方なのか体の状態はどうかなど、お聞きすることが出来たとしても用意されたプログラムにインストラクターもお客様も合わせなくてはなりません。もちろん、お客様に向き合いレッスンを行うのですが、だんだん違和感を感じるようになっていきました。「私がやりたいヨガって、こういうものだったのだろうか」と悩みがポツポツ出てくるうちに、子どもが生まれたんです。可愛い我が子と過ごしていたら将来の姿も想像するようになって、ふと「子どもに誇れる仕事をしたい」と思い始めました。そこで、ヨガを一から勉強し直して、講師としてのスキルと自信を少しずつ高めていきました。そんなある日、駅近くのレンタルスペースをお借りしてヨガをやっていると、ある方と出会いました。その方は、地域を活性化させる活動をされていて、地元愛が強い方でした。一緒にお話ししているうちに、私も地元の人と手を取り合い地元を盛り上げたいと思いました。子どもが生まれたこともあり、以前から地元との繋がりが欲しかった思いもあります。そこで、『Yoga Day1』をオープンしたのです。

解剖学の知識で、人それぞれの骨格や筋肉に基づいたヨガを

当スタジオで常に心がけているのが、来ていただいた方の体の悩みに寄り添い、一緒に解決していくことです。75分のレッスンのうち、最初の15分ほどはヒアリングを行います。肩こりや腰痛などのお悩みがあれば、1週間前にどんなことをされたのか、今週はどんなサイクルで過ごされたのか、お悩みの原因を一緒に探っていきます。当スタジオはマンツーマンや2、3名の少人数でお受けしているので、その日のその方の体の状況を理解して、プログラムを組みます。基本はハタヨガといって呼吸を意識しながら心のバランスを整えるヨガですが、他にも体をしっかり動かすヨガや骨盤ヨガもやっているので、お客様の体の状態に合わせてどんなヨガをやるか決めていきます。その上で私が追求していきたいのが、解剖学。解剖学に基づいた正しい骨格や筋肉の使い方を基本にして、ヨガをすることですね。体の構造の知識があると、人それぞれの体も理解できますし、悩みの解決策も正しい知識に基づいたものになります。以前、私が教えていた方に片方の肺を4分の3切除された方がいらっしゃいました。私は、いつも様々な呼吸法を15分ほど行うのですが、そのせいなのかその方の肺活量が切除前と同じになったとお聞きしたのです。肺活量が低下すると心臓にも負担をかけてしまいます。でもその方は、切除前と変わらず生活が出来るようになったようで、それを聞いたときは涙が出そうでした。ヨガそのものの力と、その方の前向きにヨガに取り組む姿勢に感動しましたね。自分のスキルや知識が少しでもお役立てできたら、心から嬉しく思います。

ヨガだけでなく地域の方が集まれるワークショップも

元々、地域を一緒に盛り上げる担い手になりたいという思いがあります。コロナの状況次第ですが、今後はスタジオを使ってワークショップなども定期的に開催したいですね。私が主体でやるだけでなく、地域のなかには趣味を持っているけれども活かす場所がない方もいらっしゃるので、その方達にもこの場を共有していただいて、みんなでつながりを作っていきたい。実は、最近薬膳についても勉強しています。体の外側からだけでなく、内側からのケアも意識するようになりました。ゆくゆくは、薬膳とヨガを掛け合わせて皆さんに提供できたらいいなと思っています。

何かを始めるDay1（1日目）の場所に

スタジオの名前『Day 1』は『1日目』という意味です。どんな人でも何かを始めるのに、遅いことはないと思っています。始めたりチャレンジすることって勇気が必要かもしれませんが、ここは全然緊張する場所ではないので、気軽な気持ちでみなさんの1日目をここでスタートしていただけたらなと思っています。”OPEN”の札がお店の外にかかっていたら、どなたにでもふらっと立ち寄っていただけるようなスタジオを目指しています。

※上記記事は2022年5月に取材したものです。
時間の経過による変化があることをご了承ください。