志村 充信 院長（しむら鍼灸院)のインタビュー

この道に至るきっかけと、これまでの経緯をお聞かせください。

私はこれ以前にスーパーマーケットで勤務していました。身体の機能や構造について興味があったのは、その当時からでした。あれは私が32、3歳の頃だったと思いますが、タイミング的にも「今しかない」と考え、治療という世界に入る決断をしたんです。そうと決めると、片っ端から様々な資料や本を読み、興味を持ったのが鍼灸師という仕事でした。勉強をすればするほど掘り下げられるものだなと感じたんです。私は柔道をしていたものですから、周囲からは「柔道整復師が向いてるんじゃない？」と盛んに勧められたのですが、そこは自分の意志を押し通したような感じでした。
資格を取得後、他院さんで修養に励み、平成23年（2011年）に『しむら鍼灸院』を開院致しました。私は、生まれも育ちもここ高津区なんです。幼い頃からお世話になってきたこの街の人々に、培ってきた技術でお役に立っていければと考えています。

患者さんはどのような方が？また、施術の際に心掛けていることを教えてください。

肩こりや腰痛、疲れを訴える方が多いですね。中には世間話だのなんだのして、それだけでお帰りになる方もいらっしゃいます。でも私としては、それも意味のあることだと思うんです。精神的なものが症状となって表れてくることもありますし、話をよくうかがうことで疾患の要因となることが見えてくることもまたあります。患者さんからすれば、第三者的な立場だからこそ、話せるという部分もあるのではないでしょうか。症状の改善をはかることが第一ですが、それとともに、しっかりと話をうかがい、心の負担を少しでも軽減出来るようにと考えています。

鍼治療はどのような症状に効果的なのでしょうか？

鍼は、全身のコリやハリを取ることに向いています。当院では通常の鍼治療と並行し、赤外線治療と申しまして、患部に鍼を施した状態で赤外線を当てていき、温熱効果を加えることをおこなっています。これは、つらい肩こりや腰痛、冷えなどの症状に特に効果を発揮します。若い方に多いのですが、1回の施術で具合が良くなると、「もう、いいか」と足が遠のくケースがあります。これがご年配の方になりますと、症状がある無しに関わらず、月に1回といったペースで定期的に身体の調子を整えるという意味でご利用されるケースが多いように感じます。急な症状の改善にも効果がありますが、同時に、身体のメンテナンスに効果的なのが鍼治療ですね。

お灸に関して、皆さんの反応はいかがですか？

お灸に関しては、皆さん、「熱い」というイメージが先行して、尻込みされる方が多いように思います。先程鍼治療における赤外線治療についてお話ししましたが、時と場合によっては、お灸のほうが効果を発揮することも少なくありません。ただ、「熱い」ゆえに、敬遠される方が多いのが、悩みどころといったところでしょうか（苦笑）。確かに熱くないものではありませんが、最近はその熱さを軽減するお灸も広く普及しています。例えば温灸器がそうですね。これはもぐさを燃焼させ、それを器械の中に入れ、煙によって患部を温めていくものになります。他にも低温のお灸というものがあり、こちらですと、おおよそ42、3度といったところですから、お風呂の温度とさして変わりありません。点けると花の香りがほのかにただよい、若い女性の方にも好まれます。
その人その人により、また同じ人であっても日によって体調や症状は異なりますから、いつも同じ治療をするわけにはいきません。患者さんのお話をうかがい、その方に合った施術をおこなっていくという形になります。
とはいえ、当院にいらっしゃる方の9割以上は鍼をご所望されます。最近は、整骨院さんにプラスアルファで鍼灸という形態が多いらしく、当院のような鍼灸を専門にしているところはそれなりに頼りにされていると感じているところです。

最後に地域の皆様へメッセージをお願いします。

当院でも耳つぼダイエットをおこなっていますが、過去に「1ヶ月半で10キロ落とせますか？」と見えた方がいらっしゃいました。耳つぼは本来、生活習慣の改善や適度な運動を組み合せることにより、効果をあげていくものです。おおよその目安としては、1ヶ月に1、5キロから1キロ。逆に言えば、それ以上の減量は身体に過度な負担をかけ、体調を崩す元となります。原則を理解され、なお、ダイエットに取り組みたいという方はどうぞご相談ください。専門家として、一生懸命取り組まさせていただきます。
どうか体調が悪くなる前にいらしていただけるようにと思います。風邪に引き始めというものがあるように、肩こりや腰痛にも、悪くなりそうな前兆というものがあります。痛みとはいかなくても、違和感を感じたらばご相談いただければと思います。予防のため、健康を維持することにも鍼灸をお役立てください。お話だけでも、まずは気軽にいらしていただきたいですね。

※上記記事は2014.3に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。