宇都宮 丈児 院長（うつのみや歯科)のインタビュー

この道を志したきっかけや現在に至るまでの経緯をお聞かせください。

父は郷里の四国で歯科医師をしておりました。私自身は中学から親元を離れ、全寮制の学校で暮らしていたのですが、夏休みで帰省した時もずっと父の診療している姿に見入っているような子供でした。他の職業に就くということは考えたこともなく、ごく自然に歯科医師を目指すようになっていました。
神奈川歯科大学を卒業後、大学に残り法医歯科学を選択しました。法医歯科学というのは皆さんが想像される通り、事件や事故の身元確認の際に名前の出る分野です。医学を通して法と社会をつなぐ仕事ということになります。
『うつのみや歯科』は1998年に開院して13年目を迎えました。
地域に根付いた町のお医者さんとして皆様の健康のお役に立っていきたいと考えております。

診療の際に心掛けておられることについてお聞かせください。

優しさということがその根本にあります。患者さんはただでさえ緊張されて来院されますから、優しい対応によってリラックスしていただくことが肝要になります。緊張感を取り除いてあげて、患者さんが「本当にして欲しい」と思っていることを言葉にしていただくんです。私自身も病院に行くと構えがちなので（笑）、やっぱり、そういったことを何とか解消していただこうと努めております。そこで出てくる患者さんの思い、ニーズに出来るかぎり応えていくというのが私のスタイルです。

『うつのみや歯科』の診療方針についてお聞かせください。

歯科全体としてより予防歯科に力を入れていこうというのが昨今の傾向になっていますが、開業以来、当院はそのことに注力しています。時代によってその中身は変化していきますが、現在当院ではパソコンで患者さんの歯と歯茎の状態を管理しています。おおよそ月に1度を目処に来院されてチェックをされている方が多いですね。
早いうちに疾患を察知し、悪くなる前に治療していく。なるべく患者さんの良い状態を保存していくというのが当院の方針であります。

ご家族で一緒にお見えになるケースが多いのが当院の特徴です。患者さんご本人のみならず、そのご家族に到るまで歯を通じて健康管理をしていければと考えています。
これからもこの地域のかかりつけ医として、丁寧に誠実に診療をおこなっていきたいですね。

法医歯科学という分野についてお聞かせください。

今回の大震災のような場合ではご遺体の損傷が著しく、その確認が非常に困難になることが想像されます。こうした場合、ご遺体とカルテに残された治療情報やレントゲン写真を照らし合わせたり、DNAを採取したりして個人識別をおこなっていくのですが、ここで問題となってくるのが、このカルテがあくまで医療保険の適用範囲内の記録であり、治療の一部の記録にすぎないということです。
実際には記録に残っていない事実が多く存在するわけで、それら治療の痕跡を臨床経験を基にして導きだし、記録に残っているものとをつなぎあわせていくのが法医歯科学に携わるものの仕事となります。

現在も休日は講師として大学の教壇に立っています。
法医歯科学のような限られた分野ではそのまま大学に残ることが多いのですが、それが何故に開業医となったのかと言えば・・・やはり、父の姿が頭の中にあったからでしょうね。
町医者として、日々の診療に精魂を傾ける父への憧憬。当初抱いた思いは変わることがなかったというところです。

最後に地域の皆様へメッセージをお願いします。

歯をしっかり磨くというのは簡単なようで難しいものです。定期的に歯医者さんでプラークコントロールをおこなうことも必要ですが、ちょっとした歯磨き相談でも構いませんのでお気軽に足を運んでいただければと思います。何事も大事に至らずということが肝心です。少しでも気になることがあれば当院にご相談いただければと思います。笑顔が溢れるスタッフともども、皆様のお越しをお待ちしております。

※上記記事は2011.7に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。