PRODUCT BASE SKLO 株式会社 SKLO 齊藤 倫平 ROMPEI SAITO
神奈川県川崎市出身。建築学科専攻の大学を卒業後、建築設計事務所に勤務。より身近な「ものづくり」を仕事にするため、2011年7月レザーアイテムの企画・設計・製作を手掛けるPRODUCT BASE SKLO(スクロー)を設立。2015年に自社ブランドSKLOを開始。シンプルで機能的なレザーアイテムの製作の他、革小物のOEMやワークショップなどの活動を通じて、革の魅力を伝えている。
神奈川県川崎市出身。建築学科専攻の大学を卒業後、建築設計事務所に勤務。より身近な「ものづくり」を仕事にするため、2011年7月レザーアイテムの企画・設計・製作を手掛けるPRODUCT BASE SKLO(スクロー)を設立。2015年に自社ブランドSKLOを開始。シンプルで機能的なレザーアイテムの製作の他、革小物のOEMやワークショップなどの活動を通じて、革の魅力を伝えている。
町工場の息子として生まれました。ここは父親の仕事場だった場所。特殊電球内のステムという部品を作っていたんですが、大変だから継ぐなと言われていたし、継ぐつもりもなくて。でもモノづくりの仕事はずっとそばで見ていたんです。
僕は元々、設計事務所で図面を書いていました。建築の仕事は規模が大きいので、自分の仕事の先まで手が出せないんです。だけど現場に行って一緒に作って、売るところまでできたら楽しいんだろうなと思っていました。作る方にまで手を出したくなったんです。そんな時に革の製品作りをしている昔の先輩と再会して、ちょっと手伝ってみることになりました。これが面白かった。正直、革に思い入れがあったわけではなかったけれど、先輩が作っている革製品は自分がイメージしていた「いかつい」イメージとは違ってもっと柔らか。こういう革は好きかもしれない。もっと色んな表現もできそうだし、自分もやりたくなってしまったんですよね。それでまずは、先輩の仕事を手伝うために裁断機を1台買って始めることにしました。
ブランド名のSKLO(スクロー)はチェコ語でガラスという意味。父親はここの2階で吹きガラス工房も営んでいて、教室を開いたり自分の作品を作ったりしていました。町工場のおじさんというだけではない、もう一つの顔を持っていて、ただ作るだけではない何か面白いモノをと考えていた。かっこいいとまでは思わなかったけれど、何らかの影響は受けているんでしょうね。名前だけ、その時のまま使わせてもらうことにしました。
ブランドを立ち上げて最初の製品は、イヤホンネックホルダーiHooc(アイフック)。前職で図面を描いている時にイヤホンで音楽を聴いていたんですがコードが鬱陶しくて。その時の経験から生まれたものでした。当時は世の中に同じものがなくて、宣伝もしなかったのに飛ぶように売れましたね。今はワイヤレスイヤホンが主流になってしまいましたが。
ライフスタイル雑貨は、革をもっと身近な生活の中に取り入れてもらいたいという思いで作っています。便利でちょっと見栄えのいいモノを、一風変わった視点から考えるようにしています。定番の小物は大体持っているので、その次に持つとしたらどんなものがいいのか。そんな風に考えている若い世代の方が、ギフトに選んでくださることが多いのかな。知り合いからは「定番のモノを売らないと儲からないよ」ってよく言われるんですけどね(笑)。とはいえ、みんながやっていることはやりたくない。新しいジャンルのものを作りたいっていう気持ちがずっとあるんです。
コロナ禍になりどこかへ出かけるのが難しかった頃、我が家でも小学生になった子供と一緒にキャンプに行こう、という話になりました。でも僕は、子供の頃ホテルに泊まったことがないほどキャンプに行きすぎていて、正直そこまで乗り気ではなかったんですね。でも行けばやっぱり楽しいし、キャンプ用品も好き。ふと、これに革を合わせたらいいだろうな、きっと合うだろうなと思いました。それをきっかけに2021年からキャンプ用品の製作をスタートさせました。
一番人気は焚火エプロンです。使っているのは床ベロアという表面が起毛した素材。キャンプで使うと傷や汚れが付くことも多いけれど、それが目立ちにくく、使っていくほど味わいが増していく革。もっとツルッとしたものもあるんですが、それだとちょっと合わない。この革だったからすごく反響が良かったんだと思います。今も次のキャンプシーズンに向けて新しいグッズを考案中です。
革製品の工程ではまず革の裁断があり、そこで出た端切れは商品やワークショップに活かしています。ですが、この「もったいない」をもっと減らしたいという思いがあって、何かできないかと考えていたところ、同じ高津区でスポーツアップサイクルに取り組む合同会社肩車さんから、「使わなくなったサッカーボールで何かできないか」というお問合せをいただきました。ちょうどSKLOでも色々な革の端切れを組み合わせてオンリーワンのキーホルダーを作るワークショップをしており、もしかしたら同じことができるかもしれないと思いました。今のサッカーボールって革じゃないんですよね。ところが違う素材でも革の加工技術を活かせることがだんだん分かってきたんです。
企業さんの方で「これは捨てるしかない」と思っているものでも、そこにアイデアやデザインが加わることで価値が生まれるはず。これは僕が育った環境から生まれた感覚で、町工場では製品に不良が出ても、それを組み合わせて新しいモノを作るということがされていました。だからゴミがゴミに見えないんですよ。これで何か作れるかな、何かに使えないかな、と。昔から粗大ゴミ置き場が好きで(笑)毎日眺めてはそんなことを考えていました。
先ほどのスポーツアップサイクルの取り組みでは、川崎市の第11回スマートライフスタイル大賞の奨励賞をいただきました。とはいえ、取り組みとしてはまだまだ足りていない。サイクルができていないんです。もっと色々な企業さんや地域の人たちと連携して、循環するような仕組みづくりをしたい。始まったばかりのプロジェクトなので、これからもっと力を入れていきたいですね。
もっと色々な人に革の良さを知って欲しくて、ワークショップを開いています。今はお子さん向けのものがとても人気。ショッピングセンターで開くと、列ができることもあるほどです。好きな色や型を選んでもらって、名前や模様を入れてオリジナルネームタグを作ります。文字が刻印された型棒をハンマーでトントンと。ハンマーなんて持ったことのない子がほとんどだから、みんな楽しそうですよ。おじいちゃん、おばちゃんにプレゼントする子も多いみたいですね。
ここは生まれた時から住んでいる場所。雑多な街だなとは思いますが、好きだからもっと盛り上げていきたいし、川崎のイメージアップに役立ちたいですね。会社ではふるさと納税もやっているし、僕自身も色んな地域の活動に参加しています。こう見えても消防団に所属し、小学校の役員をやったり、工業会に行ったり。お店は住宅街の中で、通りから少し見えにくい隠れ家のような場所ですが、ぜひふらっと立ち寄ってみてください。大人の工場見学のつもりで。中、案内しますよ。
※上記記事は2022年11月に取材したものです。
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