千年温泉 深澤 実千枝 代表 MICHIE FUKAZAWA
神奈川県川崎市出身。天然温泉のある銭湯として50年の歴史を持つ「千年温泉」を父親から受け継ぎ、2019年にデザイナーズ銭湯としてリニューアル。(JR南武線線 武蔵新城駅から徒歩7分)
神奈川県川崎市出身。天然温泉のある銭湯として50年の歴史を持つ「千年温泉」を父親から受け継ぎ、2019年にデザイナーズ銭湯としてリニューアル。(JR南武線線 武蔵新城駅から徒歩7分)
父が50年ほど前に始めた「千年温泉」ですが、最初は全く継ぐ気がなかったんです。もともと大学を卒業してからメーカーに就職していましたし、自営業は嫌だなって(笑)。小さいころから親が常に忙しくて、銭湯だと夜も遅い。私は普通に会社勤めがしたいと思っていたんです。でも、両親が高齢になってきてどうしようかなと。ちょうど私が少し手伝い始めた時期でもあったんですけど、意外と自営業、商売って面白いなと思ったんですよね。銭湯という業種にも興味が出てきて、やらせてもらえるなら私なりの銭湯を作りたい。私が好きな銭湯を作らせてくれるなら継ぐ!ということで、2019年に全面的に建て直してデザイナーズ銭湯としてニューオープンさせることになりました。
リニューアルのコンセプトは、若い人やファミリーでも入りやすい、スタイリッシュな銭湯。でも、銭湯には庶民文化、日本的なものがあると思うんです。若い人でも、なぜかノスタルジーを感じるというか。そういう感覚、昔ながらの銭湯らしさも残したいなと思い、入口を和風に。古い形の体重計や瓶の牛乳を置いて、柱時計も開業当初から使っている50年前のものです。そういったレトロっぽさを残しつつも、炭酸泉やサウナといった新たな要素もプラスして、古き良きものとオシャレな新しいものの融合を目指しました。
銭湯って、やっぱり少しハードルが高いところもあって、常連さんがたくさんいて入りづらいんでしょ?と思う方もまだ多いのかなと。だからこそ、誰でも気軽に入れるような雰囲気作りという部分には、一番こだわりました。最初はどうなることやら……という感じでしたが、今は地元の常連さんはもちろんのこと、夜や週末は若い人もたくさん来ていただいています。それこそ若い女性から会社帰りの男性、今サウナがブームなのでサウナ―の方も多いですね。
リニューアルから数年が経ち、父も少しは安心してくれているのかなと思います。たまに意見がぶつかることもありますけど、しばらくして父が私の意見の方がいいなと言ってくれることがあったりして。そういうときは心の中で「でしょ!」と思ったりしています(笑)。でも、父には50年やってきた歴史もありますので、そこは蔑ろにしたくないですし、学ぶべき部分はきっちりと取り入れたいと思っています。そこは、古き良きものと新しいものの融合という、今の「千年温泉」のコンセプトと同じですね。
銭湯というのは、いろんな年代の方が集う地域のコミュニケーションの場でもあると思うので、今後はもっと幅広い年齢の方に気軽に来ていただける場所を目指していきたいです。また、このあたりの温泉は比較的どこも湯が黒い色なのですが、「千年温泉」は他と比べても黒が強い温泉です。保健所の方に「この一帯で一番黒い」と言われたことがあるくらい。太古の海藻などが溶け込んでできたミネラルたっぷりの温泉ですので、ぜひ一度、漆黒の湯を楽しんでいただけたらと思います。銭湯に馴染みのない方も、遊びに来る感覚で入浴に来てください!
※上記記事は2021年9月に取材したものです。
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