小林 敏弘 平塚営業所所長（有限会社 小林植木)のインタビュー

『有限会社 小林植木』の成り立ちと、小林さんがこの道を志したきっかけをお聞かせください。

『小林植木』を父が会社として立ち上げたのが1995年のこと。それ以前からも含め、父が植木に関わり始めてから35年が経過しています。個人様・法人様を問わず、現在ではここ川崎市を中心として、東京都、横浜市、さらに神奈川県西部まで足を運ばさせていただいています。お庭に関することでしたらどんなことでも結構ですので、お気軽にご相談ください。

私個人のことを申しますと、子供の頃から父の仕事を見て育ち、「いつかは・・・」という風に考えていました。とはいえ、父から「跡を云々」と言われたことは一度もなかったと思います。職人さん同士の仲が良くて以前からその環境に馴染んでいたこともあり、ごく自然に自分から植木職人の道を目指すようになっていました。

『有限会社 小林植木』のお仕事の概要をお聞かせください。

個人宅やマンションのお庭の手入れや植木の剪定、芝刈りに消毒など、お庭のメンテナンスに関わることはほぼ全て取り扱っています。また、一級造園技能士としてお庭のリフォームに関することの相談・施行や、工場等の緑地の管理もおこなっています。創業以来、これまでに個人様で約130件、法人・事業所関係では15件を越える数の案件を任せていただいてきました。それらを私を含めた16人の職人で分担して担当しています。世の風潮もあるのでしょうが、この世界にも女性の活躍が目立ってくるようになり、実際に我々の会社にも4名の女性職人が在籍しています。力仕事や重機を扱う仕事は難しい面もありますが、女性ならではの細かで丁寧な仕事が生きる面もまたあります。各々の個性を活かしていきながら、お客様のニーズに柔軟に応えていきたいと思っています。

植木の手入れをおこなう際に心がけていることをお聞かせください。

なるべく自然な形での手入れをおこないたいと思っています。刈り込みをおこなう生け垣等、人の手が入ったものはそれ自体を自然な形と思われないかもしれませんが、木が木であることに変わりはありません。木が自分で伸びたいように伸びていくよう、お手伝いをしていくというスタンスで臨んでいます。1本の木の寿命は人間よりもはるかに長いものであり、お手入れも長いスパンで見ていかなければいけません。「1回だけお願いします」というご依頼も少なくないのですが、そういう意味では何年か定期的にメンテナンスをすることをお勧めしています。お客様にとっても普段からキレイな状態を保つことで1回あたりのコストが下がるというメリットもありますので。
「こうしたい」「ああしたい」と色々と細かにご注文をしていただけることは有り難いことです。丹誠をこめて見守っていらっしゃるからこそのお気持ちが伝わってきますし、そのお気持ちを越えるものをしてあげたいという私たちの気の張りにもつながっています。

古木樹勢回復という取り組みについてお聞かせください。

「自然なお手入れを心掛ける」。私たちのスタンスを象徴する取り組みが『NPO法人薮会』と共同でおこなっている古木樹勢回復という試みになります。これは長年の年月で傷ついてしまったり、部分的に腐食してしまったサクラやケヤキといった木を、自身が持つ自然治癒力を最大限に活かして再生していくものです。
木というのは、樹皮の真下、形成層と呼ばれる何ミリかの部分だけしか生きていません。残りの部分（中身）は厳密に言えば死んだ組織となり、成長はしないんです。とはいえ、組織として死んでいることですぐに腐るというわけではありません。それは建築材に使われている木材を思い浮かべていただければご理解いただけるかと思います。多くの場合、太い枝が何らかの理由で切れてしまったことが原因となり腐っていってしまうんです。
私どもは生きている組織から根っこを出させ、それが太い幹になって全体を支えていくまで手を尽くして見守っていきます。つまり、自分で自分を治していくためのお手伝いをしてあげるということです。
森にある木もお庭の植木も同じ生きものです。一般の方は知らずとも良いことだと思っていますが、興味を持たれた方に私たち植木屋が知識を提供し、その意識を共有していただくことも必要だと考えています。

最後に地域の皆様へメッセージをお願い致します。

『小林植木』ではお正月の門松やクリスマスツリー等のご注文も承っています。配達から設置、撤去までを一貫しておこなっていますので、ご入用の方はどうぞお気軽にお問い合わせください。植木屋として質の高いしっかりとしたものをお届けしたいと考えています。
先程も申しましたが、私どもは植木を生きものと捉えています。施主様のお庭や植木の将来を考え、1本1本の性質や状態に合わせたお手入れを心掛けています。お庭のお手入れに関するお悩みはお気軽にご相談ください。木の専門家として皆様の生活に潤いをもたらす仕事をなしていきたいと考えています。

※上記記事は2012.6に取材したものです。
情報時間の経過による変化などがございます事をご了承ください。