犬や猫の食べてはいけない物について (Part 2ー消化できな物、ボタン電池、植物ー)
犬や猫は人間のように手で物に触ることがないため、何かを探る際や新しい物を発見した際に、口に入れてしまうことがよくあります。
人間の食べ物を口にした際の中毒も危険なのですが、石や布、竹串、電池等や植物の誤飲誤食も大変危険です。
今回は、そんな食べ物以外の固形物や植物などの誤飲誤食について解説します。
〇消化できない物
・ひもや布、マスク、デンタルシート、ペットシーツなど
食べた物の大きさや性状によっては、便と一緒に排泄される場合もありますが、通常吐かせる、内視鏡でとる、開腹手術でとる等の処置を行います。しかし、布類の場合は、吐かせると食道の途中で詰まってしまい、閉塞を起こす可能性があります。そのため、吐かせるかどうか、慎重な見極めが必要となります。
おむつシート等の高性能のものは、胃の中で水分を含み膨張してしまうため、開腹手術で取り出す場合もあります。
ひも状異物の誤飲誤食は猫でよく見られます。布やひもは、そのまま排泄できない場合も多く、腸閉塞や消化管穿孔(消化管に穴が開く状態)の原因になります。
食べたひもが口や肛門からも出ている場合は、引っ張りたくなりますが、腸に絡んでいる場合もあるので、必ずそのままの状態で受診して下さい。
・針等
針や竹串等の先端が尖った物を誤飲誤食すると、消化管穿孔が生じる可能性があるだけでなく、胃や腸を内側から突き破る危険性があります。また、その結果腹膜炎になることもあります。
〇ボタン電池
ボタン電池を飲み込むと、体内で化学的な反応が起こり、消化管内でアルカリ性の液体が生成されます。この液体は消化管を高速で侵食する可能性があり、内出血や壊死、さらには消化管穿孔を引き起こすことがあります。穿孔が生じた場合、腹膜炎や敗血症等の致命的な合併症につながる可能性もあります。
また、ボタン電池が長時間体内に留まると、重金属中毒を引き起こす危険性もあります。
〇植物
犬や猫が誤食してしまうと、嘔吐、下痢、食欲不振、呼吸困難、さらには神経系に影響を及ぼす植物があるので、庭に植える場合や室内に置く鉢植えには注意が必要です。
例えば、オフィスや家庭でもよく置かれている観葉植物の「ディフェンバキア」は、犬や猫が食べると口の内側や舌を痛め、嚥下困難を引き起こす可能性があります。また、「フィカス」や「アロエ」も、消化器系に悪影響を与える成分を含んでいます。
特に「ユリ科の植物」は極めて有毒で、少量摂取するだけで腎臓に重大なダメージを与える可能性があります。急激な症状の悪化や、適切な治療が行われない場合は、亡くなってしまうこともあります。
他にも、クリスマスの時期によく見かけるポインセチア、パンジー、スイセン、ツツジ科全般の植物、スズラン、オシロイバナ、クリスマスローズ、アイビー、モンステラなどにも注意が必要です。切り花や鉢植えを室内に置く場合は、犬や猫が絶対手を出せない場所にしてください。また切り花の花瓶の水でも中毒を起こすので、水を捨てる際には気をつけて下さい。
もしも植物を誤飲誤食した場合は、いまは元気だからと様子をみたりせずに、速やかに受診して下さい。
〇まとめ
万が一犬や猫が誤飲誤食をしてしまった場合は、様子をみないで早急に受診することが大切です。また、食べたものと同じものがあれば、受診時に持参してください。
誤飲誤食の事故は、完全に防ぐことはできません。そのため、何が危険で何が安全かを知って、愛犬や愛猫が口にすることのないように注意してください。
また受診する際には、慌てずに必ずお電話をしたうえでお越しください。
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